Kei Muto, Junichiro Yamaguchi, and Kenichiro Itami
J. Am. Chem. Soc. 2011, ASAP. DOI: 10.1021/ja210249h
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ニッケル触媒を用いたアゾールとフェノール誘導体のC−H/C−O型クロスカップリング反応
フェノール誘導体をアリール化剤として用いたカップリング反応は、ハロゲン化物を排出しない環境調和の面は言うまでもないが、豊富なフェノール誘導体を利用できる、C–X (X = ハロゲン) 結合とC−O結合をもつ化合物のC−O結合のみを変換できる等、有機合成において有用なツールとなる可能性を有する。我々は、このような芳香環C–O結合変換反応を、C–H結合変換反応と組み合わせたC–H/C–O型クロスカップリング反応の開発に着手した。その結果、新規ニッケル触媒を用いたはじめてのC–H/C–O型カップリング反応の開発に成功した。本反応はNi(cod)2と配位子dcypeを用いた場合にのみ劇的な配位子効果がみられ、目的のカップリング体を高収率で得られる。さらに、本触媒系ではフェノール誘導体としてアリールカルバマート、スルファマート、カーボネート、スルホネートなど多くの芳香環C–O結合をヘテロビアリール化合物に変換できることがわかった。
なお、本結果は12月9日付の読売新聞、中日新聞、12月12日付の化学工業日報に掲載された。名古屋大学プレスリリース「芳香族化合物とフェノール誘導体をつなげる新しい次世代型 クロスカップリング法の開発に世界で初めて成功 〜全く新しいニッケル触媒の開発が鍵〜」