Takuya Yamamoto, Kei Muto, Masato Komiyama, Jerôme Canivet, Junichiro Yamaguchi, and Kenichiro Itami*
Chem. Eur. J. 2011, Early View
Ni触媒を用いたヘテロ芳香族化合物のC–H/C–X型アリール化反応
近年、芳香環C–H結合のアリール化反応が理想的ビアリール骨格構築法の一つとして注目を集めており、全世界で精力的に研究が行われている。これまでPd,Rh,Ru触媒などが用いられてきたが、安価かつユビキタスなCuやFeなどの触媒系へのシフトが起こりつつある。我々も安価なNi触媒を用いたヘテロ芳香環の直接的アリール化反応を見出した。すなわち、Ni(OAc)2/bipy触媒存在下、LiOt-Buを添加剤として用いることでアゾール類とハロゲン化アリールとのC–H/C–X型アリール化反応が進行することを報告した[論文]。 今回、本反応の基質適用範囲の拡大と生物活性物質合成への応用展開を狙い、再検討を行なった。その結果、マイルドかつより安価なMg(Ot-Bu)2を塩基に用いた新たなNi触媒系を見出した。また、本触媒反応を用いた痛風治療薬febuxostat、TTRアミロイド多発神経障害治療薬tafamidis、抗菌活性を有するtexalineの迅速合成に成功した。さらに、本反応の詳細な反応機構解明も行なったので報告する。