Keika Hattori, Kazuya Yamaguchi, Junichiro Yamaguchi and Kenichiro Itami
Tetrahedron, 2012, in press. DOI: 10.1016/j.tet.2012.05.091
Special Issue in honor of Professor Manfred D. Reetz. Reetz for receipt of the Tetrahedron Prize 2011
医薬品候補群の分子設計において、あるヘテロ芳香環を含む化合物が高い生物活性を示した場 合、その芳香環の生物学的等価体(バイオアイソスター: bioisostere)へ誘導することで、化合物の生物 活性および生体内での安定性が向上する例が多くみられる。例えば、インドールの生物学的等価体とし てインダゾールが知られている。しかしながら、インダゾールの直接的官能基化手法はほとんど報告されていない。そこで本研究では、医薬品開発研究に資する基本的方法論の開拓をめざし、インダゾ ール類の直接C–Hアリール化反応の開発を行った。
インダゾールには置換基(R)の位置により1位置換体(1H-インダゾール)と、2位置換体(2H-インダゾール)がある。種々検討した結果、1H-インダゾールと2H-インダゾール各々のC3位を触媒的に直 接アリール化する手法を発見した。1H-インダゾールはPdCl2/phen/K3PO4/Ag2CO3の触媒系を用いる ことで、世界初の直接C–Hアリール化に成功した。2H-インダゾールは銅を用いたCuI/phen/LiOt-Bu の触媒系[2]により直接アリール化が可能となった。ごく最近Pd触媒を用いた2H-インダゾールの直接C– Hアリールが報告されているが、本触媒系は安価な銅を用いているため、より理想的な反応であると いえる。これらの反応を利用し、窒素原子上に様々な置換基を有するインダゾールに対して芳香環またはヘテロ芳香環を直接導入することに成功した。