Qianyan Zhang, Katsuaki Kawasumi, Yasutomo Segawa, Kenichiro Itami, Lawrence T. Scott
J. Am. Chem. Soc. 2012, ASAP. DOI: 10.1021/ja306992k
我々はすでに、Pd(OAc)2/o-クロラニル触媒系が多環性芳香族炭化水素(PAH)のC–H直接アリール化反応に対し非常に有効であることを報告している。今回、同触媒系をコラニュレンに適用したところ、10ヶ所のC–H結合が全てアリール化された化合物を合成することに成功した。ドデカ(p-クロロフェニル)コラニュレンのX線結晶構造解析より、本来ボウル状であるコラニュレン(深さ0.87Å)が非常に平面に近づいている(深さ0.25Å)ことが明らかになり、DFT計算によっても支持された。コラニュレンの金属へのπ配位を伴わず置換基の形によってコラニュレン部位の構造を大きく変化させた例は初めてであり、歪みをもつπ共役化合物の構造変化に関する重要な知見を得た。