Katsuma Matsui, Yasutomo Segawa, and Kenichiro Itami
Org. Lett. 2012, ASAP. DOI: 10.1021/ol3005112
含窒素カーボンナノリングの合成と光物性
シクロパラフェニレン(CPP)の特異な電子的性質・構造的性質は、規則的にヘテロ芳香環を組み込むことで多彩なチューニングが可能であると考えられる。今回我々は、CPPに初めてヘテロ芳香環を組み込んだ化合物である「シクロパラフェニレンピリジリデン([14,4]CPPy)」の合成に成功した。[14,4]CPPyの光物性はピリジン環の非共有電子対よりもリング状のπ共役が支配的であるため同サイズのCPPとほぼ変わらないものであったが、酸の添加によって吸収・蛍光ともに大きく長波長へシフトした。これはCPPへの酸・塩基応答性という新たな機能の付与であるといえる。また[14,4]CPPyの2,2′-ビピリジン部位がパラジウムに配位した錯体の生成に成功し、リング状化合物の超分子的集積化への第一歩を示した。