Keishu Okada, Akiko Yagi, Yasutomo Segawa, and Kenichiro Itami
Chem. Sci. 2016, Accepted Manuscript, DOI: 10.1039/C6SC04048A
シクロパラフェニレン(CPP)に代表されるリング状芳香族炭化水素は、従来の鎖状や平面環状分子とは異なる性質・機能を有し、近年非常に注目されている。我々が2012年に報告した[9]シクロ-1,4-ナフチレン([9]CN)は、[9]CPPのベンゼン環を全てナフタレン環に置き換えた構造をしており、π拡張に伴う特異な構造的・電子的性質を示す。今回我々は、合成法を改良することによってサイズの異なる4種の新たなCN([8]CN、[10]CN、[12]CN、[16]CN)を合成することに成功した。これによってCNの物性におけるサイズ依存性や、ナフタレン環の偶数・奇数の違いによる効果を実験的に明らかにした。さらに、[10]CNの準安定異性体を単離できたため、[10]CNにおけるナフタレン環の回転障壁を導出することに成功した。