Ryosuke Takise, Kenichiro Itami and Junichiro Yamaguchi
Org. Lett. 2016, ASAP. DOI: 10.1021/acs.orglett.6b02265
アリールニトリル構造を簡単な芳香族化合物からつくる手法は合成化学において基礎的かつ重要な反応である。しかし、アリールニトリル構造のシアノ化剤は金属シアン化合物がほとんどであり、その毒性が危惧される。カップリング反応で合成する場合、アリール化剤はハロゲン化アリールがもちいられる。今回我々はハロゲン化アリールと金属シアノ化剤をもちいないニッケル触媒シアノ化反応を初めて発見した。シアノ化剤としてはアミノアセトニトリル類、アリール化剤はフェノール誘導体をつかうことが鍵である。もちいるニッケル触媒には配位子の選択が重要であり、dcypeや我々の開発したdcyptを用いないと反応は全く進行しない。フェノール誘導体はアリールカーバメート、アリールピバレートが用いることが可能である。少し配位子を工夫すればエノール誘導体のシアノ化反応も進行する。今回用いたアミノアセトニトリルは今後毒性がなく、簡便に使えるシアノ化剤としてシアノ基の導入に活躍することだろう。