Taishi Nishihara, Yasutomo Segawa, Kenichiro Itami, and Yoshihiko Kanemitsu
J. Phys. Chem. Lett. ASAP. DOI: 10.1021/jz3014826
シクロパラフェニレン(CPP)はベンゼン環をパラ位で環状に繋げた分子であり、その環状の共役系が及ぼす光物性に興味が持たれている。我々はこれまでに様々なサイズのCPPについてその吸収スペクトル・蛍光スペクトル・蛍光量子収率・蛍光寿命を報告している。今回我々は、CPPの蛍光スペクトルが4つ程度の複数の発光ピークの重なりであることや、二光子吸収スペクトルによってCPPのHOMO-LUMOギャップを実験的に明らかにした。また、CPPのサイズとHOMO-LUMOギャップをプロットした際の曲線(左図)が、蛍光スペクトルにおけるそれぞれの発光ピークのエネルギー推移と非常に類似していることから、CPPの蛍光がHOMO-LUMO遷移(S1)に由来するものであることを示唆する結果を得た。