Noriaki Ozaki, Hirotoshi Sakamoto, Taishi Nishihara, Toshihiko Fujimori, Yuh Hijikata, Ryuto Kimura, Stephan Irle, and Kenichiro Itami
Angew. Chem., Int. Ed. 2017, accepted article online. DOI: 10.1002/anie.201703648
我々は、ベンゼン環を環状につなげた化合物であるカーボンナノリングの空間内にヨウ素を閉じ込めた複合体を合成し、この複合体に電気刺激を加えることで、電子伝導性および白色発光という、従来の有機材料では得ることが難しかった 2 つの機能を同時に発現させることに成功しました。電圧や光などの刺激に応答して性質が変化する刺激応答性機能物質は、記録素子や人工筋肉など、多岐に渡る応用が期待されていますが、刺激応答性と機能性の両方の発現を思い通りにコントロールすることが難しく、こうした材料の合成は容易ではありませんでした。我々はカーボンナノリング分子集合体が電気刺激に応答することを発見し、さらにこのリング内の空間に機能性分子を導入すれば、電圧や光などの刺激に応答した機能性発現が可能になると考えました。検討の結果、カ ーボンナノリング分子-ヨウ素の複合体を合成し、電気刺激を加えることにより電子伝導性および白色発光を発現することを見いだしました。本発見は、刺激応答性の構造体に、機能性分子を閉じ込めるという簡単な合成手法に基づくものであり、今後、この手法を応用することで、さらに多様な刺激応答性機能材料の発見につながると期待されます。
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