Haruka Omachi, Sanae Matsuura, Yasutomo Segawa, and Kenichiro Itami
Angew. Chem. Int. Ed. 2010, Early View. DOI: 10.1002/anie.201005734
シクロパラフェニレンの自在合成
ベンゼン環をパラ位で環状につなげたシンプルで美しい分子シクロパラフェニレン(CPP)は1世紀以上にも渡って合成化学者の挑戦を退けてきたが、最近我々を含む3つのグループが合成に成功している。これらの合成法は全てモノマーユニットの3量化や4量化を経るため、合成できるCPPのベンゼン環の数は8, 9, 12, 18に限られていた。今回我々は、ベンゼン環3個に相当する『L字型ユニット』と、ベンゼン環1個もしくは2個に相当する『直線型ユニット』をレゴのように組み上げる戦略を用いて、[14], [15], [16]CPPをそれぞれ選択的に狙って合成することに成功した。この方法論はベンゼン環14個以上のCPPに対し一般に適用可能な自在合成法である。今後CPPを起点とした「純粋な直径・長さ・らせん構造を持つカーボンナノチューブ」の合成を達成する上で、直径の精密な制御に成功したことは非常に大きな一歩である。
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