Cristopher Camacho, Thomas A. Niehaus, Kenichiro Itami, and Stephan Irle
Chem. Sci., 2012, Advanced Article. DOI: 10.1039/C2SC20878D
シクロパラフェニレン(CPP)はサイズが大きくなるほど蛍光波長が短波長シフトする。これは鎖状のポリフェニレンの長さ依存性とは逆の傾向であり、環状π共役がもたらす特異な現象として興味が持たれていたが、有効な説明はこれまでなされていなかった。今回我々は密度汎関数法を用いてCPPの1電子励起状態の構造および励起・緩和過程を解析した。結果、励起状態におけるJahn-Teller効果(対称性が崩れCPPが楕円形に歪む)の大きさやベンゼン環同士の2面角の自由度がCPPのサイズによって異なり、これらが短波長シフトの原因として挙げられることを明らかにした。