Takao Fujikawa, Nobuhiko Mitoma, Atsushi Wakamiya, Akinori Saeki, Yasutomo Segawa, and Kenichiro Itami
Org. Biomol. Chem. 2017, Accepted Manuscript, DOI: 10.1039/C7OB00987A
2つの大きなπ平面が中央に2つのヘリセン部位によってねじれた分子「π拡張ダブルヘリセン」は、向きの異なる複数種のπ-πスタッキングによって3次元のどの方向にもキャリア輸送経路がつながる特異なパッキング様式をもち、等方的な有機半導体材料として期待されている。今回我々は、既報のπ拡張ダブルヘリセンに置換基を導入したものおよびベンゼン環をチオフェン環に変換したものを合成した。チオフェン含有π拡張ダブルヘリセンは、有機溶媒への高い溶解性と3次元π-πスタッキング様式を兼ね備える分子であり、時間分解マイクロ波伝導度法(TRMC)によって高い移動度をもつことが示唆された。実際にトップコンタクト型の有機半導体デバイスを作成し、p型半導体としての挙動を確認した。