Lingkui Meng, Yuko Kamada, Kei Muto, Junichiro Yamaguchi, Kenichiro Itami,
Angew. Chem. Int. Ed. 2013, Early View. DOI:10.1002/anie.201304492
新しい直接アルケニル化方法の開発 : C−H結合直接変換反応は有機分子の理想的構築法の一つであるが、近年では比較的安価な銅やニッケル錯体触媒を用いたものが注目を集めている。我々は安価な新規ニッケル触媒を用いた、アゾール類のユニークなC−H結合直接アリール反応を既に報告している。一つはアリールピバレートを用いたC−H/C−O型カップリング反応、もう一つは芳香環エステルを用いた脱エステル型C−Hアリール化反応である。いずれも、新しい反応形式である点と新規アリール化剤の活用を可能にしたという点で、C−H結合直接変換の新しい可能性を拓くものである。
今回、ニッケル触媒を用いたアゾール類のC−H結合直接アルケニル化反応の開発に取り組み、アルケニル化剤にアルケニルエーテルやアルケニルフェニルエステルを用いる新手法の開発に成功した。本反応を活用することで、生物活性分子であるsiphonazole Bの迅速合成にも成功した。
名古屋大学プレスリリース:芳香族分子とアルケン分子をつなげる新しいカップリング~独自のニッケル触媒が不可能を可能に~(PDFファイル)