Brandon E. Haines, Yutaro Saito, Yasutomo Segawa, Kenichiro Itami, and Djamaladdin G Musaev
ACS Catal. 2016, 6, 7536–7546. DOI: 10.1021/acscatal.6b02317
我々は2015年に、イリジウム錯体とXyl-MeO-BIPHEP配位子を用いたベンゼン環パラ位ホウ素化反応を報告した。今回我々はエモリー大学Musaev教授らとの共同研究によって、DFT計算を用いた反応解析を行いパラ選択性発現機構に関する知見を得た。Xyl-MeO-BIPHEPが配位したイリジウムは非常に立体的に混み合っており、反応点があたかも酵素の活性中心ようなポケットを形成している。これによって、基質であるベンゼン誘導体は立体反発だけでなく配位子との電子的相互作用の影響を受け、その結果パラ位C-Hがイリジウムに近づきやすくなっていることが示唆された。この仮説をもとに、より嵩高い配位子を用いた反応を試行したところ収率・選択性ともに低下した。これらの知見は今後の配位子設計における非常に有意義な知見である。