Yutaro Saito, Yasutomo Segawa, Kenichiro Itami
J. Am. Chem. Soc. 2015, ASAP. DOI: 10.1021/jacs.5b02052
ベンゼン環のパラ位の変換反応は、有用物質探索において重要であるにもかかわらず、その手段は非常に限られていた。今回我々は1置換ベンゼンのパラ位を高選択的にホウ素化する反応を開発した。Xyl-MeO-BIPHEPというかさ高い2座ホスフィン配位子をイリジウム錯体とともに用いることで、1置換ベンゼンに対して最大91%のパラ位選択性でホウ素化が進行した。ベンゼン環上の置換基が4級炭素の場合良好なパラ位選択性を発現することから、反応の選択性は立体的要因に主に支配されていることが示唆される。パーキンソン病治療薬カラミフェンのパラ位ホウ素化を経由した2段階迅速誘導化に成功したことから、本反応が医薬品ライブラリー合成を圧倒的に加速させる有用な反応であることが期待される。