ナノグラフェン精密合成を可能にするAPEX反応
Kyohei Ozaki, Katsuaki Kawasumi, Mari Shibata, Hideto Ito, Kenichiro Itami
Nature Commun. 2015, 6, 6251. DOI: 10.1038/ncomms7251.
今回我々は次世代有機エレクトロニクス材料として期待されるナノグラフェンの精密合成に不可欠な新反応(APEX反応: Annulative π (pi)-Extention)と新触媒の開発に成功した。ピレン、フェナントレンといった市販の化合物をテンプレートとし、π拡張ユニットとしてジベンゾシロール、触媒としてカチオン性パラジウム/オルトクロラニル触媒を合わせ用いることでわずか1段階で2次元炭素シートを拡張することができる。また量子化学計算によって本APEX反応が多環芳香族炭化水素(PAH)のK領域選択的に進行することが明らかとなった。多彩なPAHテンプレートとπ拡張ユニットの組み合わせによって構造・大きさを精密に制御することが可能であり、様々な光・電子・磁気機能をもつナノグラフェン類の創製が期待できる。
プレスリリース日本語(名古屋大学、トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)、科学技術振興機構)
Press release, English (Nagoya Univ., WPI-ITbM, JST-ERATO)