Takahiro Kawakami, Kei Murakami, and Kenichiro Itami
J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 2460–2463. DOI: 10.1021/ja5130012.
機能分子に窒素官能基を自在導入
アリールアミン骨格は機能性材料や生物活性物質など多くの機能分子に見られる非常に重要な構造である。近年、アリールアミンの次世代合成法として芳香族化合物の炭素−水素(C–H)結合を直接的にアミノ化する反応が研究されている。
今回我々は、臭化銅と6,6’-ジメチル-2,2’-ビピリジル(6,6’-Me2bpy)を触媒に用いることで芳香環のC–H結合を直接的にイミド化することができた。本反応の適用範囲は広く、多環芳香族炭化水素(PAH)やヘテロ芳香環を効率的かつ位置選択的にイミド化できる。中でもコラニュレンのようなボール型のPAH、カフェインやフラボンなどの天然物、機能性材料に汎用されるポルフィリンといった有用な化合物群の直接変換が可能となった。
反応機構研究では、興味深いことにkH/kD = 0.91の二次の逆同位体効果が観測された。これは求電子的なイミジルラジカルの芳香環への付加が律速段階であることを示唆している。