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ニッケル触媒直接カップリング反応の開発と機構解明研究

Yamaguchi, J.*; Muto, K.; Itami, K.

Chemical Times, 2016, 1–7. [Link]

ニッケル触媒をもちいた有機合成反応の1つに、1972年に報告された熊田—玉尾—Corriuクロスカップリング反応がある。ニッケル触媒存在下、芳香族ハロゲン化物に有機金属反応剤(Grignard反応剤)を加えることで、互いのカップリング反応が進行し、芳香族化合物誘導体が得られる。クロスカップリング反応の先駆けとなった反応ではあるが、現在では、より汎用性が高く、周期表で同族のパラジウム触媒が主流であり、クロスカップリング反応は医薬品、有機電子材料の工業生産にも多用されるノーベル賞有機反応となった。しかしながら、ニッケル触媒はパラジウム触媒に比べて安価であり、様々な不活性な結合(C–O結合、C–C結合など)が酸化的付加できるという優れた特徴がある。近年、ニッケル触媒のこれらの特徴を活用し、パラジウム触媒では困難なカップリング反応が矢継ぎ早に報告され、再注目されている。

一方で、空気、水などに不安定な有機金属反応剤を使わず、その原料である芳香族化合物の不活性な炭素—水素結合(C–H結合)を直接変換する「C–Hカップリング反応」は、現在多くの合成化学者が参画する最新有機合成化学の潮流となっている3,4,5)。我々も、そのカップリング反応を促進する分子触媒を多数開発し、本分野の発展に寄与してきた。

そのひとつに、2009年に発表した、ニッケル触媒を用いた1,3-アゾール類と芳香族ハロゲン化物の直接カップリング反応がある6,7,8)。ニッケル触媒C–Hカップリング反応の開発に世界で初めて成功したが、触媒が安価であること以外に、満足いく特徴はなかった。ニッケル触媒の特徴を活かすのならば、パラジウム触媒ではカップリングが困難なユニークなアリール化剤を使うことがひとつの研究の方向性であると考えた。本記事では、我々の開発したニッケル触媒直接カップリング反応を紹介し、特になぜそれらの反応が進行するのか、という点に絞って述べる。

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