Kenichiro Itami
Pure Appl. Chem. 2012, ASAP. DOI: 10.1351/PAC-CON-11-11-15
カーボンナノチューブやグラフェンのボトムアップ合成はナノカーボン化学 における最も重要な課題のひとつである。本論文では、それらの挑戦に向 けて我々が2005年より行ってきた取り組みについて概説した。この取り組みに よって、(1)アームチェア型カーボンナノチューブの最短部分骨格である[n] シクロパラフェニレンの自在合成、選択的合成、大量合成法の確立、(2)キラ ル型カーボンナノチューブの最短部分骨格であるキラルナノリングの合成、 (3)多環性芳香族炭化水素の直接アリール化反応によるカーボンナノシートの 効率的合成、に成功した。本研究は、構造が定まったカーボンナノチューブやグ ラフェンを得るための大きなの一歩である。