Keika Hattori, Asraa Ziadi, Kenichiro Itami, and Junichiro Yamaguchi
Chem. Comm. 2014, Accepted Manuscript DOI:10.1039/C4CC01376J
マンガンを触媒でまわす
α-ヘテロアリールカルボニル骨格は、医薬品候補化合物群に頻繁に見られる重要骨格の一つである。医薬品重要骨格の迅速合成のために、原料の官能基化を必要としない直接カップリング反応の開発が望まれている。この反応の報告例は数例存在するが、カルボニル化合物とヘテロ芳香族化合物のC–H/C–H型カップリング反応を、分子間反応かつ触媒的に行うことは困難である。この2つの条件を満たすカップリング反応を開発するために、本研究では比較的安価で低毒性である、マンガン触媒に着目した。これまでのカップリング反応は化学量論量以上のマンガン錯体を必要とし、基質適用範囲も狭いため報告例が限られている。
今回、触媒の再酸化剤として過ヨウ素酸ナトリウムを添加することにより、触媒量のマンガン錯体を用いてカルボニル化合物とヘテロ芳香族化合物の直接カップリング反応が進行することを見出した。開発した反応は多様なヘテロ芳香族化合物に対して適用可能であり、高収率でα-アリールカルボニル化合物を与える。また、生成物を加水分解、続く脱炭酸反応によりグラムスケールでα-アリールカルボン酸の合成が可能である。