Hiromi Sekizawa, Kazuma Amaike, Yukihiro Itoh, Takayoshi Suzuki, Kenichiro Itami, and Junichiro Yamaguchi
ACS. Med. Chem. Lett. 2014, just accepted. DOI: 10.1021/ml500024s
C–Hカップリングの創薬化学への応用
NCH-31は京都府立大学の鈴木らによって見出された新規ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤である。今回、我々が開発したPd/TEMPO触媒をもちいたアリールボロン酸とのC4位選択的なチアゾールのC–Hカップリング(Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 2387)を用いて、NCH-31のチアゾールC4位のフェニル基を様々なアリール基に変えた誘導体を合成した(IYS-1-15 とIYS-Me; 16種類)。HDAC阻害活性評価を行ったところ、3-フルオロフェニルおよび4-フルオロフェニル基を有するNCH-31誘導体がよりHDACを阻害することが明らかとなった。さらに、3-フルオロ-4-メチルフェニル基を有する誘導体はHDAC6を阻害せずHDAC1、HDAC9のみを阻害することがわかった。本研究はC–Hカップリングが、生物活性を有する化合物に対して、合成最終段階でアリール基を自在に導入することが可能であり、迅速な誘導化に貢献できることを示した好例である。