Kazuya Yamaguchi, Junichiro Yamaguchi, Armido Studer, and Kenichiro Itami
Chem. Sci, 2012, in press. DOI:10.1039/C2SC20277H
C–Hアリール化による嵩高いヘテロビアリール合成:新規Pd触媒の開発と不斉反応への展開
典型的なビアリール骨格の構築法である鈴木−宮浦カップリングにおいて、嵩高いビアリール化合物を合成するには、優れた配位子による加速効果が必要である。一方で、有機金属反応剤を用いないC–H結合直接アリール化反応が、理想的なビアリール骨格の構築法として近年盛んに研究が行われている。しかしながら、未だ反応性に乏しく、嵩高いビアリール骨格を構築し得る反応例は少ない。
今回、当研究室で開発したパラジウム触媒によるチオフェン類とアリールボロン酸とのC4位選択的なC–Hアリール化反応を基盤として、嵩高いヘテロビアリール骨格の構築を様々な配位子を用いて検討を行なった。その結果、ビスオキサゾリン配位子を用いた場合、劇的な反応加速効果がみられ、嵩高いアリールボロン酸においても良好な収率でチオフェンのC4位選択的に反応が進行することを見出した。さらにキラル配位子を用いた不斉反応へと展開し、不斉C–Hビアリールカップリング反応の開発にも成功した。