Masaki Ohta, Matthias P. Quick, Junichiro Yamaguchi, Bernhard Wünsch, and Kenichiro Itami Chem. Asian J. ASAP.
鉄触媒を用いた芳香族化合物とメチルアミン類のC–H/C–Hカップリング反応の開発
炭素–炭素結合形成反応は有機合成の根幹をなす変換反応のひとつであるが、Pd触媒による有機金属化合物と有機ハロゲン化物のクロスカップリング反応に代表されるように、不要な共生物である金属ハロゲン化物の生成と廃棄を看過してきた。このような観点から、C–H結合のみを用いたクロスカップリング反応 (C–H/C–Hカップリング) は、理想的な炭素–炭素結合形成反応のひとつといえる。
我々は、メチルアミン類と芳香族化合物から有用なベンジルアミン誘導体を得るC–H/C–Hカップリング反応の開拓に挑み、RuやFeを中心金属にもつユニークな新触媒を開発することに成功した。また、開発した新触媒が分子内C–H/C–Hカップリング反応に適用できることを示した。さらに合成した二環性へテロ芳香族化合物のひとつが、σ1受容体への良好なリガンドとなる(Ki = 320 nM)ことを生物学的アッセイから明らかにすることができた。