Jean Bouffard and Kenichiro Itami Org. Lett. 2009, 11, ASAP.
Ni触媒を用いたアリールボロン酸エステルのケトンへの付加反応の開発
Ni触媒を用いるとアリールボロン酸エステルのケトンへの付加反応が進行することを見出した。触媒、配位子等の反応条件の検討を徹底的に行った結果、極めて一般的なケトン類への触媒的付加反応を確立することに成功した。Ni触媒としてはNi(cod)2と含窒素へテロ環カルベン IPrから調製されるNi(0)/IPr触媒が最も高活性で、有機ホウ素化合物としてはアリールボロン酸エステルが最適であることが明らかとなった。これまで、反応性の高いアルデヒド類への有機ホウ素化合物の付加反応がRhやPdを触媒に用いて進行することは知られているが、反応性のより低い一般的なケトン類には適用できないことが知られている。本法は、Grignard法に匹敵し、なおかつ官能基許容性に優れる第3級アルコール合成法として大きなポテンシャルをもっており、その波及効果は計り知れない。