Y. Segawa, H. Omachi, K. Itami
Org. Lett. 2010, ASAP. DOI: 10.1021/ol1006168
密度汎関数法を用いたシクロパラフェニレンの構造的性質解明
シクロパラフェニレン(CPP)はベンゼン環をパラ位で環状につなげたシンプルで美しい分子であり、その構造には非常に興味を持たれる。今回我々は計算化学的手法を用いて、[12]CPPが15種類もの安定配座を取りうることを見出した。また、ビフェニルやターフェニルといった直線状の分子と比較することで環化に伴なうひずみエネルギー(strain energy)を算出したところ、環の直径ときれいに反比例することが明らかとなった。CPPのひずみエネルギーは類似の大環状化合物であるシクロパラフェニレンアセチレン(CPPA)と比較しても大きな値であったことから、CPPが合成困難な分子であることが裏付けられる。