Synthesis of a zigzag carbon nanobelt
Kwan Yin Cheung, Kosuke Watanabe, Yasutomo Segawa,* and Kenichiro Itami*
Nature Chem. 2021, DOI: 10.1038/s41557-020-00627-5
ChemRxiv, DOI: 10.26434/chemrxiv.12324353.v1
カーボンナノチューブ(CNT)の構造選択的精密合成は、材料科学の分野で長年求められている。CNTの部分構造に対応する芳香族分子「カーボンナノベルト(CNB)」は、CNT伸長のテンプレートとして注目されている。3種類のCNB(アームチェア型、キラル型、ジグザグ型)の中で、ジグザグ型CNBは最も合成が難しいとされてきた。今回我々は、ジグザグCNBの合成、単離、構造解析を行った。合成は、酸素架橋部位の還元的芳香族化とDiels-Alder反応を繰り返すことで達成した。理論計算で予測された通り、このCNBは安定な化合物として単離された。ジグザグCNBの構造はX線結晶構造解析によって完全に同定され、分光学的測定によって広いエネルギーギャップと青色蛍光特性が明らかになった。3種類のCNBの合成戦略が揃ったことで、CNTの精密合成に向けて大きく前進した。
Image by Issey Takahashi (ITbM)
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