Tetsushi Yoshidomi, Yasutomo Segawa, and Kenichiro Itami
Chem. Commun. 2013, Accepted Manuscript. DOI: 10.1039/C3CC42655F
我々はすでに、一重項カルベンである2-ピリジリデンの発生・捕捉・金属錯体合成を報告している。その結果、2-ピリジリデンは非常に単純な構造ながらこれまで報告されている中性単座配位子の中で最も大きな電子供与能をもつことが明らかになった。今回我々は2-ピリジリデンの電子供与能を活かした遷移金属錯体触媒を指向し、2座のピリジリデン配位子をもつパラジウム錯体の簡便な合成法を開発した。2座のピリジリデン配位子はビピリジン配位子と等電子構造を有しているため、得られた錯体は強固な5員環パラダサイクルによる高い安定性をもつ。