Michihisa Toya, Hideto Ito,* Kenichiro Itami*
Polymer Chemistry, 2021, 12, 3290–3298. DOI: 10.1039/D1PY00144B
[キラルらせん高分子]
今回我々は芳香環とジアセチレン部位からなる、三種類のらせん高分子の合成に成功した。ジアセチレンユニットと芳香環が交互に連なったポリアリレンジエチニレン(poly(arynenediethynylene)s: PArDEs)は有機溶媒中でらせんを形成することが知られている。今回、ナフタレン、ピレン、ピリジン骨格をもつ三種類の芳香環母骨格をもつpoly-ArDEsの合成をめざし、それらのモノマーを設計・合成し、Glaser–Hayカップリング重合によって高分子poly-NaphDE, poly-PyrDE, poly-PyDEをそれぞれ得た。それぞれのモノマーの側鎖には光学活性なアルキルアミノ基が導入されているため、それぞれの高分子は有機溶媒中で折りたたまれた不斉らせん構造を形成していることがあきらかとなった。また、各種有機溶媒中でのらせん形成・ランダムコイル形成挙動や、劇的に変化する光吸収・発光特性、円二色性などを評価した。
[研究を行なった学生]
戸谷充寿 君