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気孔開口抑制分子の開発

Discovery of 2,6-Dihalopurines as Stomata Opening Inhibitors: Implication of an LRX-Mediated H+-ATPase Phosphorylation Pathway

Ayaka Ueda, Yusuke Aihara, Shinya Sato, Keiko Kano, Emi Mishiro-Sato, Hiroyuki Kitano, Ayato Sato, Kazuhiro J. Fujimoto*, Takeshi Yanai, Kazuma Amaike*, Toshinori Kinoshita*, and Kenichiro Itami.

ACS Chem. Biol. 2023, accepted, DOI: 10.1021/acschembio.2c00771

気孔は植物の葉に存在し、酸素や二酸化炭素などのガスや水分を外気と交換する孔(あな)である。そのため、気孔の開閉は植物の成長やストレス応答と深く関係しており、古くから研究対象にされてきた。中でも、気孔開閉運動を制御する低分子化合物は、気孔運動の機構解明における強力な研究ツールとしてだけでなく、農薬など農業への応用にも期待されている。これまでいくつかの気孔運動制御分子が発見されてきたが、それらの作用機序は不明なものがほとんどであった。

本論文では、2,6-ジハロプリン誘導体(AUs)が新しい気孔開口阻害剤であることを発見し、その機構解明研究をおこなった。AUsは気孔を開かせる原動力である細胞膜プロトンポンプの働きを抑制することで、気孔の開口を阻害することが明らかになった。アフィニティーベースプルダウンアッセイと分子動力学シミュレーションから、ロイシンリッチリピートエクステンシンタンパク質(LRXs)およびRALFペプチドを、AUsの標的タンパク質候補として同定した。LRXs-RALF複合体が関与する気孔運動の作用機序は未解明であり、今後の研究により、気孔運動に関わる新たなシグナル伝達経路や制御因子の発見が期待される。

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