Takehisa Maekawa, Hiroshi Ueno, Yasutomo Segawa, Michael M. Haley, and Kenichiro Itami
Chem. Sci. 2015, Accepted Manuscript, DOI: 10.1039/C5SC03391H
我々は2013年に、炭素水素結合の開裂を伴うジベンゾ[a,e]ペンタレン合成反応を報告した。今回この反応を用いることで、市販のフルオレノンから6段階で、直線状に6-5-6-5-5-6-5-6員環が並んだπ共役化合物ペンタレノ[1,2-b:4,5-b’]ジフルオレン(PDF)の合成に成功した。各種物性測定により、PDFが非常に狭いエネルギーギャップを有することやビラジカル性をもつことが明らかになった。また、PDFが基底状態において一重項ビラジカル状態であることが示唆された。4つのメシチル基が置換したPDFは空気や水に対して数ヶ月以上安定であり、近赤外光の吸収や多段階の充放電といった特性を活かした材料応用が期待できる。