Masakazu Nambo, Yasutomo Segawa, Atsushi Wakamiya, and Kenichiro Itami
Chem. Asian J. Early View DOI: 10.1002/asia.201000583
ロジウム触媒を用いたフラーレンのヒドロアリール化反応
次世代マテリアルズサイエンスの主役となるナノカーボンを直截的かつ柔軟に化学変換する基本的方法論の開拓は、合成化学者に課せられた重要な課題である。今回我々はフラーレンへの効率的置換基導入を可能にする分子触媒の開発を検討したところ、有機ホウ素化合物を用いたフラーレンのロジウム触媒ヒドロアリール化反応の開発に成功した。すなわち、フラーレンと有機ホウ素化合物の1,2-ジクロロベンゼン-水混合溶液に触媒量のカチオン性ロジウム(I)錯体を作用させると、置換ヒドロフラーレンが選択的に得られる。本反応の進行には水の添加が必須である。本手法を用いれば、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基などを高選択的に導入することができる。また、本反応を用いることで、アミノ酸やπ共役化合物などの機能性ユニットとフラーレンのハイブリッド分子の迅速合成も可能である。入手容易かつ取り扱い容易な有機ホウ素化合物を反応剤として用いることを可能にした本手法の有用性は極めて高いと考える。