Mai Nagase, Kenta Kato, Akiko Yagi, Yasutomo Segawa,* and Kenichiro Itami*
Beilstein J. Org. Chem. 2020, 16, 391-397. DOI: 10.3762/bjoc.16.37
ヘキサベンゾコロネン(HBC)は、難溶性分子として知られる多環芳香族炭化水素である。その高い平面性に起因する溶解性の低さから、無置換HBCの官能基化はこれまで非常に困難であった。今回我々は、無置換HBCに対する触媒的C–Hホウ素化反応の開発を行った。イリジウム触媒存在下、種々の溶媒を検討することで、HBCに対し6つのホウ素官能基を導入することに成功した。生成物の構造をX線結晶構造解析によって確認し、位置選択的に6ヶ所ホウ素化が進行していることを明らかにした。また合成したヘキサボリルHBCの光物性測定を行い、ホウ素官能基が与える影響を明らかにした。本手法により導入したホウ素基は多様な置換基へと変換できるため、HBC誘導体の簡便な合成への貢献が期待される。