Kirika Ueda , Kazuma Amaike , Richard M. Maceiczyk , Kenichiro Itami , and Junichiro Yamaguchi
J. Am. Chem. Soc. 2014, Just Manuscript. DOI: 10.1021/ja508449y
ヘテロ芳香族化合物は医農薬や天然物などの生物活性分子に頻繁にみられる重要な基本骨格のひとつである。これまで様々な遷移金属触媒によるヘテロ芳香環C–H結合直接アリール化反応が世界中で精力的に研究されてきた。しかしながら、一般的にピロール類のC–H結合直接アリール化に関しては、Nのα炭素原子上で進行することが知られており、β位での選択的アリール化はほとんど報告されていなかった。
今回、RhCl(CO){P[OCH(CF3)2]3}2/Ag2CO3触媒[1]がピロール類のβ位C–H結合の直接アリール化を促進することが明らかとなった。さらに、開発した触媒反応を応用して、多環性海洋アルカロイドであるラメラリンIの効率的な合成を試みた。可能な限り直接的かつ短段階で合成を達成するため、開発したピロール類のβ位選択的アリール化反応に加えて、新たなC–H/C–H結合直接カップリング反応を用いた。その結果、ピロール環と3つのアリール基をすべてC–H結合直接アリール化反応により導入することに成功し、ラメラリンIの短工程合成を達成した。