卒業生の甲斐恒成くんと河野英也くんの研究がChemical Science誌に採択されました!
Stable cationic nanobelts synthesized by chemical oxidation of methylene-bridged [6]cycloparaphenylene
Nobushige Kai, Hideya Kono, Timo Stünkel, Daiki Imoto, Riccardo Zanasi, Guglielmo Monaco, Francesco F. Summa, Lawrence T. Scott, Akiko Yagi, Kenichiro Itami
Chem. Sci. 2025, Accepted Article. DOI:10.1039/D5SC01305D
カチオン性炭化水素ナノベルトであり、空気中で固体状態および溶液状態の双方で高い安定性を持つ「MCPPカチオン」の合成に成功しました。
本研究により、MCPPカチオンは長波長領域に鋭い吸収スペクトルを持つほかジカチオン(2価の陽イオン)は高い蛍光量子収率を持つナノベルトであることが分かりました。
さらに、ジカチオン体は磁場環境において強いジアトロピックベルト電流を持ち、特徴的なプロトン核磁気共鳴(1H NMR)シグナルを生じることを理論・実験の両面で明らかにしました。
MCPPカチオンの持つこれらの特徴を生かして、長波長発光材料や超分子材料などへの展開が行われることが期待されます。
甲斐くんの大発見と怒涛の実験によって圧倒的なスピードで論文が出来ていきました。
そこに河野くんの理論的なフォローと詳細なスペクトル解析が入って、論文の質を格段に上げてくれました。
3年間の師弟関係、MCPPブラザーズによる見事なタッグにより(ヤギ)史上最速で論文投稿に至った、おそらく一生忘れられないメモリアル分子です。
Scott先生とZanasi先生のチームにはベルト電流の解析で大変大変お世話になりました。
ぜひいろんな研究者に活用いただけると嬉しく思います。
河野くんは現在、理研伊丹研で研究員をされています。リンク
理化学研究所からのプレスリリース (日本語):https://www.riken.jp/press/2025/20250501_1/index.html
名古屋大学からのプレスリリース (日本語):https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/05/post-817.html